最終更新日 2024年3月22日 by landroverth

1,日本でも特別な日となったクリスマスイブ

日本におけるクリスマスの過ごし方として定番となっているのが、恋人や夫婦でデートをするという楽しみ方です。

これはいつ頃からこのような文化が生まれているのか、その特徴や歴史を専門家の神澤光朗に聞いてみました。

アメリカではもちろん古くの時代から親しまれているのがクリスマスですが、日本では明治初期のあたりからの記録で、すでにイブにパーティーを行うといった事実が確認されています。

その後に昭和初期に入るとイブには家族でホームパーティーを行う事の他にも、カップルで一緒に過ごすという風習が定着していきました。

日本人にとっても特別な日として位置づけされていき、ドレスアップしてデートを楽しんだり、プレゼントを交換するという文化が根付いていきます。

一方で外国の場合は恋人同士で過ごすという側面はあまり多くないのが特徴で、日本で独自に生まれていったスタイルとしても知られているのが注目点です。

海外では宗教行事としてのイベントである反面で、日本国内ではキリスト教徒であるかどうかは関係なく、ツリーを飾ったりプレゼント交換を楽しむという事が一般的です。

これには少なからず疑問を感じる外国人の方もいるようですが、日本人にとっても大切な日である事には変わりないと言えるでしょう。

そうして大事なイベントを楽しめる特別な日として定着したイブの行事は、カップル達の文化として発達していきました。

 

2,クリスマスの過ごし方が注目されてきた

日本の経済も徐々に成長していった中で、段々とその内容は豪華になっていき、パートナーに贈るプレゼントも高級志向が取り入れられていきます。

そして1980年代に入ると、言わずと知れたバブル経済が到来します。

この時代においては経済成長の象徴ともなる建築物や株価の動きなど様々な部分が目立ちましたが、クリスマスイブのデート内容にも反映されました。

いくつかの例を見てみますと、イブには高級ホテルにカップルで宿泊するといった流行があり、雑誌やマスコミなどの影響も多大にあったようです。

有名ホテルであれば数ヶ月前から予約で満室になる事も珍しくなく、果ては1年以上前からの予約が入るといった現象もありました。

これはパートナーがいるかどうかは問わずに、まずはイブのホテルを抑えておくという事が特徴で、パートナーがいない状態でイブを迎える者もいたようです。

そしてイブの日には高級なディナーを楽しむ事が必須とされ、当時はフランス料理やイタリア料理(イタメシの呼ばれ方で親しまれていました)が人気のディナーとして注目されていたようです。

パートナーに贈るプレゼントは高級志向が反映された部分や、各雑誌などの特集も後押しし、海外の高級ブランドバッグなどの高額商品が中心でした。

また世間の流行としてもイブのスペシャル感は表現されており、邦楽ポップスにおいてのクリスマスソングの多さも見逃せません。

 バブル期での代表的な曲目を挙げると、山下達郎さんの曲や松任谷由実さんのアルバムなどが象徴的な存在と言える でしょう。

テレビCMでも多数起用されており、JR東海のシンデレラエキスプレスなどのCMは当時のクリスマスソングを語る上でまず筆頭とされるCMです。

このようにカップルにとっても一大イベントとなったイブの行事ですが、1990年代以降は徐々にその内容に変化を見せていきます。

 

3,クリスマスの過ごし方は多様化している

経済状況としてもバブルが崩壊し、不景気が長続きしている影響もあり以前のような豪華で高級感満載なイブの過ごし方というのは段々と少なくなっていきました。

高級ホテルの閉鎖に裏付けされているように、イブに何ヶ月も前から予約を入れるという現象もなくなりましたし、プレゼントの内容も極端なマスコミの特集などは少なくなっていきます。

80年代以前はイブに恋人がいなく1人で過ごすという者はかわいそうな扱いまでされていた物ですが、時代が進むに連れてその傾向は薄れていきます。

しかし大切な人と過ごしたいという傾向は続いていき、カップルで過ごすのはもちろんですが、家族や友達と言った多様性が増えていったのは事実でしょう。

実際に2006年頃でのあるデータを見ますと、30代女性の約4割以上がデート以外の過ごし方をする、といった数字も残されています。

現代においてはそれぞれの楽しみ方をするような位置づけにもなり、カップルのデートでも特別でありながらも無駄に経費をかけずに楽しむという側面が見られます。

これは日本の経済状況も関係していますが、若者文化が低コスト高パフォーマンスという部分を重要視してきた流れでもあるでしょう。

1人でケーキなどを楽しむ者や、友達や家族とパーティーやイベントを満喫する方々など、それぞれが好みに応じて工夫しているのが現代の特徴でもあります。

とは言え街中では様々なツリーやイルミネーションの飾り付けが美しく、レストランや商業施設でも魅力的な企画などが充実していますので、カップルのデートでは最適と言えるのがクリスマスの時期でもあるでしょう。